こんにちは!
今日は後継者は避けて通れない、事業承継の人間関係についてお話ししたいと思います。
世の中の問題の9割は人間関係です。
職場でも人間関係は強いチームづくりや円滑な業務遂行などに影響しますが、一方で、後継者にとっての難関とされるお家騒動を回避するのは至難の業です。
この記事では、先代からの事業承継に悩まれている次世代の後継者へ
これからも続く難関に立ち向かうための迷ったら見返せる承継のコツをお伝えします。
家族経営の方だけでなく、これからマネージメントを行う方にも当てはまる内容になっていますので、ぜひ読んでみてください!
後継者にとって、初代経営者は親なのか上司なのか
事業承継あるあるとして、先代とのお家騒動や、従業員からの協力が得られないなど、二代目が引き継ぐことでのハレーション問題があります。
この問題は、どの立場から見るかによってアドバイスが変わる話題ではありますが、
今回は二代目である私自身の経験も踏まえてお話ししたいと思います。
結論から言えば、
初代経営者は、親ではなく上司です。(当たり前と言えば当たり前ですが。。。)
事業承継はさまざまな問題が起こりますが、まずは事業での結果を出すことがひとつの鍵と言えます。これはひとつのゴールであり、通過点です。
ですが、結果を出す前に
この「上司と部下」という関係づくりが意外とできていないことで「お家騒動」の原因となる場面が多々あります。
二代目は、「親の会社を継ぐ」という立場で、実務以外にもプレッシャーや環境との闘いが待っています。
先代は先代で「自分が大切に育てた我が子が気になって仕方がない」という強い思いから
結果的に社内で意識上の経営者が2人いる状態が誕生します。
注意したいのは、ここで言う先代にとっての「我が子」とは、「会社」のことです。
創業者にとって、優先順位は当たり前のように二代目ではなく、会社になります。
自分が従業員と一緒になって育ててきた会社が、どうしようもない人間の手に渡ってしまうことだけは避けなければなりません。
お家騒動は、本来ならスムーズに進むはずのことが感情が原因で問題が起きたりもします。
途中過程で問題は勃発しますが、
後継者は、先代からの攻撃に耐えながら、先に結果を出すことを優先すべきなのです。
後継者にとって、先代は、上司です。
そこで、これからその親である「上司」となるべく上手くやっていく方法をご紹介します。
1,先代のためのコミュニケーションをとる
日清食品の創業者である安藤百福さんの次男、日清食品ホールディングス元CEO安藤宏基さんは、自信の著書「カップヌードルをぶっつぶせ!」で、創業者との「けんかのルール」として、4つの教訓を掲げています。
教訓その1 会社の無形資産の中で最大の価値は「創業者精神」であると思え
教訓その2 二代目の功績は創業者の偉業の中に含まれると思え
教訓その3 二代目は「守城の経営」に徹すべし
教訓その4 創業者の話に異論を挟むな。まず「ごもっとも」と言え
安藤宏基元CEOは最低一週間に一度、ゆっくりと話し合いをする時間を取るように心がけたそうです。
2,境界線を設定する
健全な関係を築くためには、明確な境界線が必要です。ここが一番の難関かもしれません。
先代は創業者魂でガンガン土足で来ますので、親子の関係性に対する意識や理想は早いうちに捨てる決断をすることをお勧めします。
●プライベートと仕事の線引きを明確にする
●不適切な言動には毅然とした態度で対応する
●自分の権限と責任の範囲を明確にする
個人的な注意点としては、自分が先代の敵になるような指摘や伝え方は避けた方が無難です。
3,社員の力を借りる
お家騒動を防ぎ、職場環境を改善するには、社員の力を借りることが重要です。
個人的には、全員が先代の方を向いているスタート地点から、自分の方へ向いてくれる部下を、実績もしくは人数どちらかで過半数獲得を目指すのが良いのではと思います。
離職に一喜一憂せず、結果に集中しましょう。
他にも、
●定期的な全体ミーティングを開催し、情報共有を促進する
●社員からのフィードバックを積極的に求める
●チーム building イベントを実施し、社員間の絆を強化する
4,市場に目を向け、世に貢献することだけ考える
部下の評価者は上司であるように、社長の評価者は市場です。
感情的になりがちな家族経営の中で、プロフェッショナルな姿勢を保つことが重要です。
常に、お店の外、会社の外からどう見られるかを考え、世の中に喜ばれることへ進みましょう。
例えば、
●客観的なデータや市場分析に基づいて意思決定を行う
●外部のアドバイザーや専門家の意見を積極的に取り入れる
●感情的な対立を避け、ビジネスの目標に焦点を当てる
ポイントは報告の際に「一緒に検討しましょう」と伝えることです。
5,自己成長と学習を継続する
2代目として成功するためには、常に自己研鑽に励むことが不可欠です。
先代には出来ない分野を取り入れることは、後継者の存在獲得の力になるでしょう。
先代が出来ない分野とは、時代の流れに合った新しいことです。
時代への対応は、先代に対して能力的に勝るという意識ではなく、役割として必要不可欠な業務だと言えます。
Webマーケティングはその一つになりますので、先代がいる店舗経営者にとって必要不可欠な学びとしてお勧めします。
他にも、
●経営やリーダーシップに関する書籍やセミナーで学び続ける
●メンターを見つけ、定期的にアドバイスを受ける
●他の家族経営企業の2代目とネットワークを構築し、経験(失敗談)を共有する
6,おまけ、時には諦める
もし先代がまだ現役で、自身の使命を果たす意欲がかなりある場合、
経営状況や時間的に問題が無ければ、一度身を引くというのも一つの方法です。
会社を去るという意味ではありません。責任は代表者にありますが、
会社の存続こそが、本質です。
「自分のやり方を通したい」vs「会社を存続させたい」
一見同じ問題に見えてそうではない場合もあります。
社内で一番の経験者と、無理に同じ分野で対決する必要はない、という考えもひとつの選択肢に入れておきましょう。
その間自分は他の仕事をすることも良いかもしれません。
さいごに
「星野リゾート」の星野佳路さんは、「星野佳路と考えるファミリービジネスの教科書」という本の中で、先代である「4代目星野嘉助さんのお別れ会」でのあいさつでこう残されています。
「長く続く家業には、有利な面もあれば、苦労する面もあります。父から私への事業継承は決してスムーズなものではありませんでした。若く未熟であった私は、自分が正しいと思っておりましたが、結果的に事業が今でも継続できていることは、父が長期的な視野で同族会社の良識を発揮したからなのです。同じ会社で本気で真剣に経営に取り組む時に、通常の父子の関係が犠牲となります。この23年間は、私は父に経営者として挑戦し、父も私を後継者として評価するという関係になり、元の父子に戻ることなく今日を迎えてしまいました。
これからは父子として良い思い出をしっかりと思い出し、感謝の気持ちとともにいつまでも覚えていたいと思っています。」
お家騒動は、避けて通れない事業承継のあるあるです。
ぼんくら息子か、頑固おやじか、どちらかの能力の問題ではありません。
創業者が人生を賭けてつくった会社を、後継者は同じく人生を賭けて継いでいるのです。
認めてもらうには、結果を出し、決着をつける。これ以外にありません。
一方で、先代も一番の山場に直面しているのだということを理解してください。
事業承継の最大の難関は、事業から退くことだそうです。
後継者としての現在の経験は、これから来る未来の引退のためであるという意識と共に
これからも一緒に頑張りましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!